キャラ研発信

サマリー

『子どもの好きなキャラクター造形とメディア・ミックス型物語環境の研究』

●目的:
子どもの日常的な物語環境をメディア・ミックス型のそれとしてとらえ、キャラクター享受と物語性の相関について実証的調査を行い、分析、検討を通して、子どもの心をひきつけるキャラクター要素の一端を明らかにする。

●素材:
『名探偵コナン』(青山剛昌)

●中心対象:
小学校4・5・6年生

●研究概要:
「単元 新しい国語『名探偵コナン』の予告編をつくろう」テレビアニメーション『名探偵コナン』番組放送第5回放送分「新幹線大爆破事件」(1996年2月5日放送)について、

(1) アニメーションの物語の読解<3分間のあらすじを制作>
(2) あらすじと予告編の違いを考える<見たくなる予告編とは何か?>
(3) 見たくなるような予告編の作成とプレゼンテーション<予告編案の作成、相互批評>
という流れでケース・スタディを行い、児童のキャラクター享受と物語理解を考察する。

●結果と考察:
ケース・スタディと並行して実施したメディア環境アンケートにおいて、コナンを好きと答えた児童の理由は「なぞが解ける」「最後までやりとおす」「かっこいい」が上位であった。このヒーロー像は、予告編制作において4年生児童の多数が謎解きや事件解決に向けた行動力(爆破事件の発端や前半部)に焦点を当てたこと、5・6年生では後半部や爆弾(アタッシュケース)を蹴り出し事なきを得るシーンに注目したことからも伺える。

同時に、高学年においてはコナンというヒーローの持つ二面性や大きな物語を視野に入れた作り方も目立った。予備調査において、コナン以上に複雑な内面性を付与されたキャラクター・灰原哀を享受できるのは中学生以上、さらには高校生以上という結果が出ている。それと照らし合わせた時、この予告編制作における学年毎の違いは、そのゆるやかな反映とも考えられ、興味深い。

また予告編制作に相応しくないカットを選ぶ設問においては、4年生がサブキャラ小五郎に関するものをあげ、その理由として意味不明だから、と述べている。しかしこのカットの本質は、プロの探偵を凌駕する子どものコナンを浮き彫りにするということであり典型的な対比の構造である。

4年生の捉えるヒーロー像は“彼自身の行動とその結果”であり、ヒーローを浮き立たせるための質の異なるさまざまな対比関係やサブプロットの関係性のなかにキャラクターを享受し、それを表現に反映させるという点においては、困難が伴う。脇役を享受する見方は、高学年に少し、中学生になると頻繁に見受けられるようになることから、中学生のデータと合わせ概観すれば“時系列に推移する主人公の行動と出来事で読むストーリー読み”から“人物関係や因果関係の層的ありようで読むプロット読み”への段階的な変化がみてとれるのではないか。継続課題としたい。