キャラ研発信

時代レポート キャラクターの今が見える時代

「母親としての自分」を表現し始めた女性たち(2003.10発表)

絵本の関心度・必要度
 1〜6歳の幼児を持つ母親の実に93%が絵本に関心を持っている。
また、97%が絵本を必要と思っている。これは、「家族旅行」よりも多く、「父親」と並ぶほど重要であることを示している。

 ●絵本に関する関心度●
全体(N=1063)
かなり関心がある  44.6%
まあ関心がある  48.8%
どちらとも言えない  4.7%
あまり関心はない  1.7%
まったく関心はない  0.2%


 ●絵本の必要度 全体(N=1063)●
父親
かなり必要である 83.3%
まあ必要である 13.0%
どちらとも言えない 2.8%
あまり必要ではない 0.7%
まったく必要ではない 0.2%
絵本
かなり必要である 66.1%
まあ必要である 31.2%
どちらとも言えない 2.4%
あまり必要ではない 0.2%
まったく必要ではない 0.0%
お出かけ/家族旅行
かなり必要である 54.0%
まあ必要である 40.3%
どちらとも言えない 5.2%
あまり必要ではない 0.6%
まったく必要ではない 0.0%
絵本支持層のクラスター分類徴
 絵本に対する関心をより深く分析するにあたり、「絵本の良さ」に着目した。ここには、今の母親の絵本に対する意識が端的に表れていると思われるからである。
 そこで「絵本の良さ」について因子分析を行った結果、4つの因子が抽出できることを確認した。
 ※数値は因子負荷量 その項目がどれだけ各々の因子を説明しているかを表す数値
絵本の良さ 因子1 因子2 因子3 因子4
自分自身の気分転換になる 0.677 0.080 0.067 0.022
自分自身の娯楽 0.594 0.058 -0.003 0.184
生活の中でゆとりが感じられる 0.493 0.205 0.205 0.069
生活の中で知性が感じられる 0.408 0.103 0.114 0.198
身近な芸術として親しめる 0.370 0.248 0.158 0.075
自分の価値観をしぜんに子どもと共有できる 0.346 0.188 0.293 0.078
子どもに愛情を与えられる 0.117 0.758 0.181 0.086
子どもに安らぎを与えられる 0.209 0.651 0.205 0.021
子どもとの会話が楽しめる 0.196 0.352 0.301 -0.011
子どもとのスキンシップが楽しめる 0.129 0.328 0.245 -0.011
子どもから自分への愛情を確認できる 0.279 0.320 0.260 0.081
子どもが物事の善悪や人への思いやりを学べる 0.048 0.161 0.585 0.047
子どもが文字や言葉を覚えられる 0.123 0.049 0.444 0.050
子どもの好奇心が満たされる 0.066 0.114 0.378 0.019
子どもの感情が豊かになる -0.010 0.231 0.362 -0.030
子どもが楽しめる 0.099 0.089 0.278 0.006
自分にとってのファッション 0.181 0.019 -0.021 0.714
自分のセンスを表現できる 0.162 0.043 0.086 0.709
 調査=「そう思うもの」を複数回答
分析=主因子法:Kaiserの正規化を伴わないバリマックス法にて実施

◆絵本の良さとして認められる因子◆
 因子1 → 自分の娯楽
 因子2 → 親子の交流
 因子3 → 道徳・知育
 因子4 → センス・ファッション

 このように「絵本の良さ」が持つ4つの価値の中に、「自分の娯楽」「ファッション・センス」といった従来にはなかったと思われる要素が認められている。つまり、絵本と接する際に新しい意識・行動をもった人々が生じていることを予想させた。

 これに基づきk-means法によりクラスター形成を行ったところ、4クラスターで分類すると、各クラスターの因子スコアの平均値は以下のようになった。
 そこで各クラスターを以下のように解釈・命名した(なお、「子供の娯楽派」については、後述の分析も加味して命名)。
No. 自分の娯楽 親子の交流 道徳・知育 センス・
ファッション
クラスター
-0.247 0.818 0.283 -0.103 →親子の交流派
-0.223 -0.500 -0.888 -0.048 →子供の娯楽派
1.444 0.538 0.480 0.331 →自分の楽しみ派
-0.295 -0.713 0.361 -0.017 →道徳・知育派
クラスター別にみる「絵本の良さ」
 前項で分類したクラスターの特徴を明確にするために、クラスター別にどのような「絵本の良さ」を認めているのか、表してみた。
<MA>
(%)
全体
N=1063
子供の
娯楽派
N=302
道徳・
知育派
N=279
親子の
交流派
N=323
自分の
楽しみ派
N=159
 
子どもが楽しめる 89.7 78.1 90.7 95.4 98.1 子供の
娯楽
価値
子どもの情感が豊かになる 87.7 69.9 90.3 97.8 96.2
子どもの好奇心が満たされる 76.5 57.6 76.0 86.1 93.7
子どもとのスキンシップが楽しめる 73.5 48.7 69.2 91.3 91.8 道徳・
知育
価値
子どもが文字や言葉を覚えられる 71.7 40.4 86.4 77.4 93.7
子どもが物事の善悪や人への思いやり
を学べる
67.7 12.9 96.4 83.3 89.9
子どもとの会話が楽しめる 66.4 35.1 57.3 89.5 95.0 親子の
交流
価値
子どもに安らぎを与えられる 52.1 22.2 14.7 93.2 91.2
子どもに愛情を与えられる 46.4 14.6 11.1 88.5 83.0
身近な芸術として親しめる 33.6 18.5 16.5 38.7 81.8 自分の
楽しみ
価値
生活の中でゆとりが感じられる 33.4 11.6 19.7 38.1 89.3
自分の価値観をしぜんに子どもと共有
できる
27.3 8.6 18.6 28.8 74.8
自分自身の気分転換になる 24.1 12.3 13.3 14.9 84.3
子どもから自分への愛情を確認できる 15.6 2.0 3.6 22.3 49.1
自分自身の娯楽 14.8 8.6 7.2 5.9 57.9
生活の中で知性が感じられる 14.5 5.3 9.3 7.7 54.7
自分のセンスを表現できる 2.3 0.0 1.4 0.9 10.7
自分にとってのファッション 1.6 0.7 0.7 0.3 7.5
その他 1.5 1.0 0.4 1.9 3.8  
   ※『』は30%以上、『』は50%以上、『』は70%以上。
絵本の価値構造
この結果を図式化してみると、以下のように示すことができる。







      自分の楽しみ派
15.0%
    親子の交流派
30.4%
  道徳・知育派
26.2%
自分の楽しみ価値
子供の娯楽派
28.4%
親子の交流価値 親子の交流価値
道徳・知育価値 道徳・知育価値 道徳・知育価値
子供の娯楽価値 子供の娯楽価値 子供の娯楽価値 子供の娯楽価値
  新しさ  →
●「子供の娯楽派」は、絵本に対しては、「子供が喜べばそれで十分」という、絵本の本来的な価値にしか気づいていない。
●「道徳・知育派」になると、これに加えて「教育的要素」も認めるようになる。
〜ここまでが子供にとっての価値のみ認めている層で、全体の半数強を占める。
●「親子の交流派」は、親が一方的に与える価値だけではなく、子供との言葉や感情のやりとりという双発的な価値も認める。
●さらに、「自分にとっての価値」を感じる人たち=「自分の楽しみ派」も15%存在している。この人たちは、絵本に多くの価値を見出し、絵本が自分自身の生活を豊かにする重要な手段であると考えているようだ。
クラスター特性一覧
クラスター特性一覧 【1】
自分の楽しみ派 親子の交流派 道徳・知育派 子供の娯楽派
子供のためだけでなく自分にとっての価値も求める 親子の言葉や感情の交流を楽しむ 子供への教育的価値を重視 子供が喜べばそれで十分
絵本は子供のために大切であり、いろいろな絵本を読んであげたい、と思っている。同時に、自分にとっても大事なものであり、自分のセンスにも合うものを選びたい、という気持ちも強い。この人たちは、生活全般においてお仕着せでなく、自分の目で良いものを選び取りたい、と思っている。つまり、絵本もそうした生活意識・行動が反映されたものになっていると言える。 絵本は、子供と上辺のコミュニケーションを図るだけのものでなく、感情の交流を行うものだと思っている。この背景には、“家族の絆を大切にしたい”という願望がある。 絵本は、子供の道徳形成・知育に役立つものと認識している。この裏には、何よりも道徳教育が大事だとする子育ての指針がある。 この人たちは、絵本の価値を掘り下げて聞くと、「子どもにとっての楽しさ」を挙げてくれる。しかし、普通に聞くと明確な傾向は見出せない。絵本への関心は低くはないが、他派に比べると、総じて反応が弱い。それは、生活全般においても、積極的に何かを選択しているわけではないことに起因していると言えそうだ。

クラスター特性一覧 【2】
  自分の楽しみ派 親子の交流派 道徳・知育派 子供の娯楽派
絵本との
接触状況
絵本情報をできる限り
積極的に集める
29% 12% 8% 7%
絵本を毎日読み聞かせる 46% 37% 27% 22%
1年間に子どもに
20冊以上絵本を買った
15% 9% 8% 8%

クラスター特性一覧 【3】
  自分の楽しみ派 親子の交流派 道徳・知育派 子供の娯楽派
絵本に求める
価値
●絵本に対して、多くの良さを認めている。
  特に「自分自身の娯楽」 「自分自身の気分転換」「知性が感じられる」「ゆとりが感じ られる」 「身近な芸術」という項目で群を抜いて高い。

●子供に対して、様々な絵本を積極的に読んであげたいと思っている。中でも「自分も 楽しめる絵柄やストーリーの絵本」「色のきれいな絵本」が、他派に比べて際立って高い。
●絵本に対して、「自分の楽しみ派」ほどではないが、比較的多くの良さを認めている。特に「子どもの情感が豊かになる」「子どもに愛情/安らぎを与えられる」という項目では、各派の中で最も高い。

●子供に対して積極的に読んであげたい絵本でも、「自分の楽しみ派」に次いで多くの絵本に反応している。特に「親子の会話が弾みそうな絵本」「子どもと一緒に指差したりできる絵本」が比較的高い。
●絵本の良さの中で「子どもが物事の善悪や人への思いやりを学べる」という項目では、各派中、最も高い。
  「子どもの情感が豊かになる」「子どもが文字や言葉を覚えられる」も比較的高い。

●子供に積極的に読んであげたい絵本として、「子どもが物事の善悪や人への思いやりを学べる絵本」「子どもの創造力や感受性が豊かになる絵本」「子どもが文字や言葉を覚えられる絵本」、また、具体的なジャンルでは「名作絵本」「ディズニー系絵本」「知育絵本」などが、「自分の楽しみ派」「親子の交流派」並みに高い。
●絵本の良さ、子供に積極的に読んであげたい絵本、子育ての方針・・・
など、いずれの項目に対しても、最も反応が鈍い層である。

●ただし、「絵本の一番良いところ」を聞くと、「子どもが楽しめる」「子どもの好奇心が満たされる」、同様に、「一番読んであげたい絵本」を聞くと、「子どもの好奇心が刺激される絵本」、が各派の中で最も高くなっている。
絵本意識の
背景にある
価値観・行動
●子育ての方針としては、子供にとって良いものを選択して与えたい、いろいろなことを体験させてあげたい、という意識・行動傾向が見られる。

●日常生活においても、良いものを選択し、いろいろなことに積極的に取り組んでいる様子がうかがえる。
●子育ての方針としては「家族の時間を作るように心がけている」が「自分の楽しみ派」と並んで高くなっている。 ●子供の成長には「物事の善悪をきちんと理解させ、社会のルールを覚えさせること」が最も大事だと思っている。 ●日常生活の中で特に大切にしたいものとしては、「趣味・レジャー」が各派の中で最も高い。

自分の楽しみ派・・・
 絵本の読み聞かせ頻度や購入冊数が多い。絵本に多くの価値を見出し積極的に情報収集するなど、意識面・実態面で絵本市場を引っ張るマーケットドライバー層だと言える。