キャラ研発信

時代レポート キャラクターの今が見える時代

“友達と共に作るドラマ”としてのカードバトル(2000.2発表)

トレーディングカードゲームは友達と話をしたり、友達を増やしたりするための手段。
カード交換も楽しい。

 「トレカゲームで対戦したり、友達とカードの話をしたりすること」と「集めたカードをひとりで見たりひとりでデッキを組むこと」のどちらが楽しいか、を聞いたところ、全体の9割以上が「ひとりで遊ぶ」よりも「友達と対戦したり話をしたりする」ほうが楽しい、と回答している。また、「カードを持つことで誰とでも話をしたり遊んだりしたい」という気持ちと「カードをただ持つだけでなく、たくさん持ったり強いカードを持つことでまわりの人に自慢したい」という気持ちを比較してみると、全体の7割が「自慢したい」よりも「誰とでも遊びたい」という欲求を持っている。さらに、トレカの楽しさが「仲のいい友達と話をしたり新しい友達を増やしていくこと」と「対戦で勝つために必要な情報 を入手すること」のどちらにあるのかを聞いたところ、全体の7割が「情報入手よりも友達とのコミュニケーション」 と回答している。つまり、子どもたちにとってトレカは、自己満足するためのツールではなく、友達とのコミュニケーションを広げていくための重要な手段となっている。
 トレカを楽しむための行為として、「カード交換」は欠かせないものであるが、子どもたちはそれを どのような気持ちで行っているのであろうか。結果としては、「楽しいのでよくやる」という人が「欲し いカードを入手するために仕方なくやっている」という人を大きく上回り、全体の7割近くとなってい る。カード交換自体も、単に必要なカードを入手するという事務的なものではなく、友達とのコミュ ニケーションに花が咲く、楽しい行為となっている。
トレーディングカードゲームの最も楽しいところは「バトル」
 トレカゲームには、「カードコレクション」「カード交換」「デッキ構築」「バトル」「情報交換」「イベン ト参加」「カードに描かれたキャラクターや数値」「マンガやテレビなどのストーリー」など、様々な楽しめる要素がある。これらの中で、「一番楽しい」ものとして最も多くの子どもたちに支持されているのが「バトル」である(全体:45.6%)。それに「カード交換」(全体:18.4%)、「デッキ構築」(全体:12.8%)などが次いでいる。また、「カードコレクション」と「カードバトル」のどちらが 楽しいか、を二者択一で選んでもらったところ、全体の7割近くが「カードバトル」と回答している。 こうした結果からは、「バトル」での喜びを得るために、カ ードの収集や交換、デッキ構築などを楽しんでいる、とい う構造が浮かび上がってくる。
  このように、「バトル」はトレカゲームの魅力の核となって いる。その裏には「勝ち負けが決まるのが面白いので何度でも対戦したい」と回答する人が全体の8割近くに達しているように、“勝負ということの刺激性”に対する強い共感があると思われる。ただし、子ども達の生の声を聞いてみると、勝負は好 きだが決して勝つことだけが楽しいわけではないようである。あくまでも友達と同じ時間・空間を共有し、そこで一喜一憂することに楽しさの本質があるようだ。
トレーディングカードゲームには「スリル」と「自由度」がある。
  トレカゲームと携帯ゲームを比較してもらったところ、トレカゲームのほうが「ハラハラ、ドキドキ する」と回答した人が全体で46.7%(携帯ゲームは全体で28.5%)、トレカゲームのほうが 「自分なりの遊び方ができる」と答えた人は全体で64.1%(携帯ゲームは全体で22.2%)と なっている。子どもたちにとってトレカゲームは、携帯ゲームにはない「スリル」が得られるものであり、「自由な世界」へと誘ってくれるものとなっている。また、「最初から強いカードや好きなカードが全部そろっているブースターパックを買いたい」(全体:43.7%)という子どもよりも、「ワクワクするので一回一回ブースターパックを買いたい」(全体:56.3%)という子どもたちのほうが多い。カード購入の時点でも、「スリル」が味わえるようだ。
 全体の9割近くが「最初から組まれて売られているデッキ」よりも「自分なりにデッキを組むこと」 のほうが楽しい、と回答しており、“オリジナルデッキ志向”の強さが端的に表れている。一方で、 「モンスターやカードの特徴を生かして自分なりのデッキを作ること」と「どんどん強いレアカードを入れて強いデッキを作ること」とでは、わずかに後者のほうが楽しい(全体:55.1%)と回答する人が多くなっている。ただ、この結果から見えてくるのは、「強いカードを揃えること」が全てではない、 ということである。単純に考えれば、勝つために強い カードを求めることは当然の成り行きであるが、必ず しもそうではないところにトレカゲームブームの要因が隠されているように思われる。
  「自分なりに遊べる」のはトレカゲームと携帯ゲームではどちらか、を聞いたところ、トレカゲーム が圧倒的に高いスコアを獲得している(全体:64.1%。携帯ゲームは全体:22.2%)。この「自 分なり」という要素は、デッキの組み方でも求められている要素となっており、トレカゲームを語るうえでの重要なキーワードであると言える。そして、子どもたちは遊ぶ相手のレベルにも「自分なりに戦える相手」(強すぎず弱すぎず)を求めている。そこには、そういう「均衡状態」でしか味わえないスリルや達成感があるのだろう。
男子小学生の7割は、前よりもトレカが楽しいと思っている。
トレカゲームに対する気持ちの変化を聞いてみた。中学 1〜2年生では「前よりもつまらないと思う」人が「前よりも楽しいと思う」人を上回っているが、 小学生全体では7割近くが「前よりも楽しい」と回答している。いまの人気を牽引する主役がどうなるかはわからないが、しばらくトレカゲームそのものの人気が衰える気配はなさそうだ。