キャラ研発信

ミスター・ロンリー

 

 

『他人のキャラを借りて生き続けた末に』

 

「キャラ探し」が話題になるのは、日本だけじゃない。人間が「キャラ探し=自分探し」の旅を続けている象徴として、この映画が登場したといっても過言ではない。

 

「マイケル・ジャクソンでしか生きられない男」というキャラ設定にど肝を抜かれる。彼の名はもちろん、マイケル。幼い頃から自分に違和感を覚え、別人になりたいと願った彼は、24時間365日、ずっとマイケルを演じることにしたのだ。ストリートパフォーマンスをするも道行く人々の反応は冷たく、フランス語が話せないのにパリに住むマイケルにとって唯一言葉を交わすのはエージェントのレナードと、マイケルの孤独っぷりは絶頂に達する。

 

さらに冒頭でたっぷりと、ボビー・ヴィントンの「ミスター・ロンリー」の哀愁に満ちたメロディと歌詞で、観衆たちの心に潜む孤独を掘り起されていく。インパーソネーターが主人公という意表を突くユニークな設定、そしてマリリンモンローやチャーリー・チャップリンなどのモノマネ芸人達が共同生活をするというファンタジックな発想、最後まで交差しないもう一つのサイドストーリーは観ているものに「揺らぎ」を与える。ただ、そこには"純粋さと社会性の対立"という同じテーマでつながっている。

 

19歳の若さで映画『KIDS/キッズ』の脚本で世界中にセンセーションを起し早期に認められてしまったが、一体自分ってなんだろうと8年間自分のキャラ探しの旅を彷徨っていたハーモニー・コリン自身の表出の映画だ。

 

他人のキャラなんて脱ぎ捨てて、真っ裸で闘う姿は美しい。

 

 

2/2(土)シネマライズ他全国順次ロードショー

 

2007年11月15日 森永留美子